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マッカ・ムカッラマとメッカ州 （サウジアラビア王国西部地方） その４ 近代化する聖地メッカ  |
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（注）目次に戻るには上の「Content」マークをクリックしてください。
ハッジ(Hajj)*又はウムラ(Umrah)*に関係する交通手段は主要なサービスについては整えられている。メッカは航空路線を持たない小さなメッカ東空港(Mecca East Airport)を持つのみであり、殆どの巡礼達はジェッダにあるキング アブドゥル アズィーズ国際空港(King Abdulazizi International Airport)の巡礼用ターミナルかジェッダ港(Jeddah Seaport) の巡礼専用のホールを利用している。
（注）ジェッダ国際空港(King Abdul Aziz International Airport.)では拡張事業が進められており、巡礼専用空港が設けられる。
ジェッダ国際空港およびジェッダ港からの交通には現在、2013年完成予定のハラマイン鉄道(Haramain Railway Project)（聖都間高速鉄道）が使われる。
一方、メッカ市内では巡礼の期間であろうとなかろうと住民達にも訪問者達にも公共交通が欠けている。この市の内外を移動する為の主な交通手段は個人用の車両か私有のタクシーであったが、2011年には現在建設中である延長18kmのメトロ（モノレール）が完成する。これを含め、5路線のメトロ線が宗教行事が行われる場所に巡礼達を輸送するために計画されている。その他に市街地用軽便鉄道(Light Rail Service)の導入も図られている。 6.1 聖都間高速鉄道(Al-Haramain high-Speed Railway Service)
6.1.1 事業主
事業主はサウジ鉄道機構(Saudi Railway Organization, SRO)であり、公共投資基金(Public Investment Fund)が資金的支援を行う。 6.1.2 鉄道の名
この鉄道は巡礼輸送を目的に計画され、当初は巡礼鉄道(Western Rail Network)と呼称されていた。2006年に事業計画当初は巡礼高速鉄道(Makkah Madinah Rail Link)あるいはマッカ･ジェッダ･マディーナ鉄道事業(Makkah Jeddah Madinah Railway Project)との呼称が使われていたが、2009年年初からハラマイン鉄道(Haramain Railway Project)（聖都間高速鉄道）と呼ばれている。
（注） 私はハラマイン鉄道を聖都間高速鉄道と転写している。
路線工事中の聖都間高速鉄道 http://www.hhsr.info/Album2Images/13-Aug-09%20(50).jpg 6.1.3 事業の目的
ハッジ(Haj)および断食月(Ramadan)には聖都マッカ(Makkah)と聖都マディーナ(Madhina)の間の交通混雑は巡礼者達にとってもサウジ政府にとっても深刻な問題であった。この混雑を緩和し、巡礼達やその他旅客達を安心･安全・快適に輸送する為にサウジ鉄道機構(Saudi Railways Organization)はサウジアラビアの鉄道網計画(Saudi Railway Expansion Programme)の三大鉄道プロジェクトの一つとして聖都間高速鉄道(Haramain High Speed Rail Project)を計画した。
2つの聖なるモスクの守護者(Custodian of the Two Holy Mosques)アブドゥッラー国王(King Abdullah)はかねてより、「ハッジ(Haj)およびウムラ(Umrah)の巡礼達により良い交通手段を提供したい」と望んでいたので、聖都間高速鉄道事業の実施を2008年2月に承認した。現在、この事業はアブドゥッラー国王主導で実施されつつあり、1列車で車数百台分の訪問者達を運搬できる列車の運行が大量の巡礼達の存在による交通混雑を緩和し、サウジアラビア西部公共交通の利便性に大きく貢献すると期待されている。
(注) サウジアラビアの鉄道網計画(Saudi Railway Expansion Programme)： サウジアラビアの鉄道網計画とはサウジ鉄道機構(Saudi Railway Organization, SRO)が計画･実施しているリヤド・ダンマン間の既存路線にリヤド・ジェッダ(Riyadh – Jeddah)間およびダンマン・ジュベール(Dammam - Jubail)間の路線を新設した半島横断鉄道(Saudi Land Bridge)、マッカ(メッカ)・ジェッダ・メディーナの三都市を結ぶ聖都間高速鉄道(Haramain High Speed Rail Project)、南北鉄道(North-South Line)の三大鉄道プロジェクトである。この鉄道網計画はサウジアラビアの最高経済会議(Supreme Economic Council)によってヒジュラ暦1423年3月23日（西暦2002年）に鉄道拡張計画として承認されている。なお、計画当初の経緯からそれぞれ、東西連絡鉄道(East-West Rail Link)、巡礼鉄道(Western Railway to serve the holy cities of Makkah and Madinah or Makkah-Madinah Railway Lin)および北部鉱物鉄道(Northwest Mineral Line)あるいは南北資源鉄道と転写されている記事も多い。 6.1.4 事業概要
聖都間高速鉄道事業で採用される弾丸列車（電気機動高速鉄道）は時速320kmで運転されるのでジェッダ(Jeddah)とマッカ(Makkah)間 78kmは30分で運行でき、マッカ(Makkah)とマディーナ(Madhinah)間 450kmは2時間半で運行される。
この事業にはマッカとマディーナ間延長約450kmの新設鉄路建設、マッカに1ヶ所、ジェッダに2ヶ所、ラービクに1ヶ所、そしてマディーナに1ヶ所の5旅客駅の建設および利権期間での旅客サービスの運営が含まれ、最新式の信号とテレコミュニケーション システム(Communication and Signaling Systems)が装備される。
（注）旅客駅数は後述のようにメッカ市内に1ヶ所追加され、現在は6から7ヶ所とされている。
この事業の予算は53億ドルから60億ドルと推定される。マッカ・マディーナ間を連絡するこの鉄道事業は2009年から実施され全体の完成は2013年の予定である。
150万人のマッカの在住者達と数百万人のハッジおよびウムラの巡礼達が利用するキング アブドゥル アジズ国際空港(King Abdul Aziz International Airport)には駅が設けられ、この鉄道は多くの在住者達と巡礼達の両方に供される。空港はマッカから丁度90kmの距離にある。
（クリックした後、左上にカーソルを置くと右下に拡大マークがでます。） 6.1.5 資金調達と土地の収用
2つの聖モスクの守護者アブドゥッラー国王(Custodian of the Two Holy Mosques King Abdullah)はこの事業の実施を命じ、この目的のためにサウジ国内資金を使う様に指示した。事業予算は200億リヤル（53.3億ドル）と見積もられている。
この事業では2010年までに5億リヤル、2030年までに7.5億リヤルの財政的な見返りの達成が期待されている。
この事業にはサウジアラビアにおける巨大企業への私企業の参加の一部であり、公共部門に加えて私企業が投資に参加するので、サウジ鉄道機構(SRO)はUBS投資銀行、ナショナルコマーシャル銀行(National Commercial Bank)およびSNCFインターナショナル(Société Nationale des Chemins de fer Français）で構成される事業体(Consortium)をこの事業の資金調達と技術支援のために確保してきており、また、世界的な法律顧問会社リンカタース(Linkaters)とアブドゥルアジズ H, ファハド(Abdulaziz H. Fahad)法律事務所が法律顧問サービスを行っている。
土地価格評価委員会(Property Estimation Committee)がこの事業が遂行されるルートに沿って土地調査を行い、委員会は土地所有者に支払う補償の額も見積もりつつある。同委員会はハラマイン鉄道駅の建設用地の必要な土地の収用と境界線の確定を2009年4月5日までに80%終えている。 6.1.6 ハラマイン鉄道（聖都間高速鉄道）の駅
聖都間高速鉄道には5つの旅客駅が設けられる。ジェッダには2の駅があり、その1つはキング アブドゥル アジズ国際空港(King Abdul Aziz International Airport)であり、もう1つは聖都道路(Haramain Road)に設けられるジェッダ中央駅Central Jeddah)である。これにより旅客達はサウジアラビア鉄道網(Landbridge Project)を利用して、ジェッダとリヤドを鉄道連絡する可能性も持っている。ラービグ(Rabigh)ではキング アブドゥッラー 経済都市(King Abdullah Economic City in Rabigh)に駅を設けられる。メッカ中央駅(Mecca Central Station)はマッカ西部でジェッダ・マッカ高速道路の南で第3環状道路の東である。最北端の駅となるメディーナ(Medina)では知識経済都市(Knowledge Economic City)に設けられる。 6.1.7 建設と事業の実施
この事業は設計、建設、操業、移管の手順（DBO方式）で実施されるDBO利権(Design-Build-Operate-Transfer Concession)として私企業の参加を通じて履行される。
2007年3月、サウジ鉄道機構(Saudi Railways Organization, SRO)はマッカ・マディーナ鉄道事業(Makkah-Madinah Rail Link project, MMRL)の為の入札過程で7国際借款団(Consortia)からの参加のための資格表明(Statements of Qualification, SOQ)を受け取った。国際借款団(Consortia)は多くのサウジ一流企業および国際企業から成り立っている。それらの国際企業は高速鉄道のデザイン、建設、運営および保守に専門家を持っている。国際的な関心はオーストラリア、中国、フランス、ドイツ、イタリー、日本、ロシア、スパインおよび英国の会社によって表明されて来ており、これらの会社には世界の高速技術の主要なプロバイダーも含んでいた。
サウジ鉄道機構(Saudi Railway Organization, SRO)が資格審査に合格したラジヒ事業体(Al-Rajhi Consortium)、ビンラーデン国際事業体(Binladin-OHL International Consortium)、サウジ オゲール事業体(Saudi Oger Consortium)およびサウジ・日本事業体(Saudi Japanese Consortium) 4事業体に対して、この事業の技術的・資金的提案書を3ヶ月以内に提出するように求めた。2008年10月14日入札書類提出され、2009年1月、4事業体からの資金調達提案が開札された。
サウジ鉄道機構(Saudi Railway Organization, SRO)、公共投資基金(Public Investment Fund)とこの事業の助言者達が各事業体から提出された入札書類を吟味し、その結果、2009年3月4日にラジヒ同盟(Al-Rajhi Alliance)は2つの聖都マッカ(Makkaj)とマディーナ(Madinah)をリンクする2聖都間高速鉄道事業(Haramain Railway Project)の第一期工事(Phase I)の第1部分(Part I)である土木工事67.9億リヤル（18.1億ドル）の契約を落札した。
ラジヒ同盟(Al-Rajhi Alliance)は中国鉄道建設総公司(China Railway Construction Corporation)、アッラブ コントラクト会社(Al-Arrab Contracting Company)、スワイレム会社(Al Suwailem Company)およびフランスのアルストム(Alstom Transport)で構成されている。第一期工事の第1部分(Part I)はマッカ・マディーナの鉄道連絡(Railway Linking Makkah and Madinah)の為の土木工事であり、この鉄道はキング アブドゥッラジズ国際空港(King Abdulaziz International Airport)の傍を通り抜け、ジェッダの東端に沿って敷設される。第一期工事には線路を敷設する為の整地、橋、排水路およびトンネルの建設が含まれる。
この土木工事の工事監督業務はスペインのゲティンサ(Getinsa)との合弁会社ダール ハンダサ コンサルタント(Dar Al-Handassa Consultants)に3億6,000万リヤル(9,600万ドル)で落札した。
この事業の管理業務は2009年11月にスコット ウィルソン(Scott Wilson Company)が8,980万リヤル(2,395万ドル)で55ヶ月の契約を結んでいる。
駅は第一期工事の第2部分(Part II)で建てられ、契約調印日から3年以内に完成する。駅デザインは2009年3月にフォスター(Foster & Partners)が1億4,200万リヤル（3,787万ドル）落札し、2010年第1四半期に納入された。駅建設の入札書類は2010年2月24日に資格審査に合格した入札者に配られ、2010年6月12日までに技術および価格の両応札書類を提出するように要求した。
第二期工事(Phase II)は線路(Rail Tracks)の建設、電気系統、コミュニケーション、信号システムの設置および弾丸列車の輸入と操業を包括している。この入札は2009年9月に入札書類を資格審査に合格した5つの事業体に配り、2010年7月3日までに技術および価格の両応札書類を提出するように要求した。フランスのTGV列車の製造元であるアルストム(Alstom)は機関車入札に参加した。
この事業の第二期工事対する資格審査に合格した5つの事業体から技術および価格の応札を2月末までに受け取るだろう。第二期工事には450km電化軌道の設置、信号・コミュニケーション システム建設、十分な数の高速列車供給および鉄道の操業と保守・保全が含まれる。
この事業の第一期工事の作業は2012年4月までに完成する。また、実験操業を含む第二期工事は2012年12月までに整う。この事業は2012年半ばには完成し、線路上での試運転が同じ年の11月に予定されている正式開通するまでの6ヶ月間行われる。 6.2 メッカのモノレール(Al Mashaaer Al Mugaddassah Metro)
マシャアエル ムガッダッサー メトロ (Al Mashaaer Al Mugaddassah Metro)はサウジアラビアのメッカ(Mecca)に敷設される延長18.1kmの高架のメトロであり、2010年11月の開業を目指して、現在、工事中である。このメトロはメッカ メトロ(Mecca Metro)として知られ、モノレール(Monorail)とも呼ばれている。
6.2.1 事業主
事業はマッカ・マディーナおよび聖なる場所の開発委員会(Commission for Development of Makkah, Madinah and Holy Sites)および都市村落省(Ministry of Municipal and Rural Affairs)が担当し、事業主はサウジ鉄道機構(Saudi Railway Organization, SRO)と思われる。 6.2.2 鉄道の名
正式名はマシャアエル ムガッダッサー メトロ(Al Mashaaer Al Mugaddassah Metro)であるが、一般的にはマッカ メトロ(Mecca Metro)と呼ばれ、時にはモノレール(Monorail)とも呼ばれている。 6.2.3 事業の目的
モノレールはハッジ(Hajj)期間のバスや車両による混雑を緩和する為に巡礼達をメッカ(Mecca)、マウント アラファト(Mount Arafat)、ムズダリファ(Muzdalifah)、ミナー(Mina)の聖なる場所へと輸送する。モノレールは、又、ウムラ(Umrah)を行う巡礼達を一年を通じて運ぶ役割も担う。モノレールが完成すれば53,000台と推定されるバスはこの市の混雑した道路から消え、迅速・安全でもっと快適な巡礼を約束するだろう。 6.2.4 事業概要
予備調査ではモノレールは500万人の巡礼を輸送するために設計されており、1つのモノレールの価格は40億リヤルと見積もられ、モノレールは総額200億リヤル（53億ドル）で建設される。2つの聖モスクの守護者(Custodian of the Two Holy Mosques)アブドゥッラー国王(King Abdullah)は聖なる場所の間を移動する300万人を超える巡礼達の輸送を容易にするこの事業を承認した。
メッカ メトロはメッカ巡礼者の経路にそって路線が敷設される。
聖なるサイト （クリックした後、左上にカーソルを置くと右下に拡大マークがでます。
（注）メッカ巡礼者の経路については「3.4.2章 ハッジの儀式(Rites of Hajj)」を参照。
（クリックした後、左上にカーソルを置くと右下に拡大マークがでます。）
タイプ： 高架鉄道 現状： 第1期工事 工事中 建設場所： メッカ(Mecca) 起点・終点： レサイファ(Resaifah)・アラファト(Arafat) 駅数： 15 利用者数： 120万人（双方向に毎時 各25,000人） 操業開始： 2010年11月予定 鉄道車両： 長春鉄道車両(Changchun Railway Vehicles) 軌道総延長： 18.1km 軌道数： 4 軌間： 1435mm 運行速度： 時速100km
モノレールは2010年の11月25日から11月29日のハッジ(Hajj)に間に合わせて2010年11月13日に開業する。
開業当初は手動運転を補助する自動列車防護装置(Autiomatic Train Protection)の能力の35%で運行される。2011年の半ばから無人運転が開始されても要員は車両上に待機している。
軌道は地上8mから10mの高さに保たれる。2011年ハッジ(Hajj)には一方向に毎時72,000人の乗客が運べるように設計されている。
モノレール システムは巡礼一人当たりの運賃200リヤルで100万人余のハッジ巡礼達の輸送し、年間2億リヤルの収入、一人当たりの運賃50リヤルでウムラ巡礼者達にサービスし、追加で年間1.5億リヤルの収入を見込んでいる。
（注）運賃200リヤルは高すぎるので50リヤルにすべきとの議論が現在行われている。 6.2.5 経路
最初の軌道は後に聖モスク(Al Haram)まで延長されるだろうが、提案されている5つの軌道の1つである。5つの軌道で構成されるモノレールの鉄道網は2聖都間高速鉄道事業(Haramain High Speed Rail Project)が完成すればジェッダ飛行場(Jeddah Airpot)とリンクされる。
http://www.skyscrapercity.com/showthread.php?t=1047215
a 第一期工事 巡礼経路環状線
ピンク軌道はミナー(Mina)、ムズダリファ(Muzdalifah)およびアラファト(Mount Arafat)の間の４つの平行した軌道の環状線で、各々の場所に3つの昇降駅を持つ。4軌道の環状線は単軌道に分かれてミナー(Mina)の野営地全てでの利用を可能にする。ミナー(Mina)がモノレール軌道の終点であり、ジャマラト橋(Jamarat Bridge)の西に配置される。ピンク軌道は橋の4つの階全てとエレベーターでリンクされている。4つの平行な軌道はアラファト(Arafat)へと南に向かい、アラファト モスク(Arafat Mosque)の次の主要駅に着く前に巡礼達をアラファト(Arafat)に運ぶ為に再び単線に分かれる。軌道は再び合体し、ムズダリファ(Muzdalifah)へ向かう。ムズダリファ(Muzdalifah)で巡礼達はミナー(Mina)に戻る前に儀式の時間を持つ。軌道はアラファト(Arafat)の最初の駅の背後にあるトレイル(Trail)の端にある車庫(Depot))を持つ高架橋(Viaduct)の上を通る。折り返しの環状線は最後の駅と車庫の間に計画されている。旅客達は赤軌道或は青軌道にミナー駅(Mina Station)で乗り換えられる。この軌道は2010年11月までに完成の予定である。
b 第二期工事 ミナー(Mina)・メッカ(Mecca)直結線
第二期工事は赤軌道でミナー(Mina)とメッカ(Mecca)を真直ぐにリンクさせている。
c 第三期工事 レサイファ(Resaifah)駐車施設および南駐車施設連絡線
第三期工事および第三期A工事はオレンジ軌道であり、メッカ(Mecca)と西のレサイファ(Resaifah)にある大規模な多層駐車施設および南にあるもう一つの駐車施設とを結んでいる。
d 第四期工事 ミナー(Mina)・メッカ(Mecca)環状線と南への延長線
第四期工事は青軌道でミナー(Mina)をその西にあるメッカ(Mecca)を北への大きな環状線を通って結んでいる。第四期A工事は青軌道環状線から外れて真直ぐに南への延長である。
e 第五期工事 メッカ(Mecca)環状線と北へ延長線
第五期工事は黄色軌道でメッカ(Mecca)を取り巻く軌道と北への真直ぐな延長である。この軌道が赤軌道、青軌道およびオレンジ軌道と連結しており、駐車場とアラファト(Arafat)の間の途切れの無いモノレール サービスを容易にしている。 6.2.6. 建設
中国鉄道建設会社(China Railway Construction Corp, CRCC)は基盤整備構築とシステム統合のための67億リヤル（18億ドル）第一期工事契約に責任を負っている。この契約は2009年2月の中国主席(President of People's Republic of China) 胡 錦濤(Hu Jintao)の訪問に伴って、サウジアラビア政府によって認められ、都市村落相(Minister of Municipal and Rural Affairs) ミテブ殿下(Prince Miteb)と中国鉄道会社(China Railway Company)の間で調印された。この実施には66.5億リヤルの費用と2年間の歳月が必要である。この事業能力の35%はヒジュラ暦1431年（西暦2010年）に使え、ヒジュラ暦1433年（西暦2012年）のハッジまでには事業能力一杯に使えるだろう。
CRCCはこの事業基盤の建設を行い、この事業の様々なシステムの下請け契約・統合を遂行する。幾つかの下請け契約の内、ブレクネル ウィリス(Brecknell Wills)はステンレススティール接触面を持つ軽量アルミニューム導体レールを供給する。このレールは直流1,500Vで3,000Aの電力を供給する。ウェスティングハウス プラットフォーム スクリーン ドア社(Westinghouse Platform Screen Doors)はホームドアを供給する。シーメンス(Siemens)は電源装置を供給する。WS. アトキンス(WS Atkins)は電気システム、機械システムおよび事業管理(Project Management)に責任を負っている。タレス(Thales)はセルトラク式データ通信利用鉄道自動制御装置(Seltrac Communications-Based Train Control)、運行制御センター(Operations Control Centre)、CCTV(監視カメラ),、SCADA（Supervisory Control and Data Acquisition）および乗客情報システム(Passenger Information Systems)を供給する。シストラ(Systtra)は土木工事監修を行い、ロイド船級協会(Lloyds Register)は安全監査を担当する。 6.2.7 鉄道車両(Rolling Stock)
2009年4月4日に長春軌道客車股份有限公司(Changchun Railway Vehicles co., Ltd)がA型車12両編成のモノレール17セット供給する契約を落札した。各々のセットはモーター付8車両とトレーラー4車両で編成されて、全てアルミニューム製の車体である。各A型車両は長さ22.3mで幅3mである。クノールブレムゼ(Knorr-Bremse)がブレーク システムを供給する。最初のモノレール セットは2010年4月に納入され、最後のセットは2010年末に納入される。 6.3 軽便鉄道(Light Rail Service)
6.3.1 事業主
事業主は大モスク(Grand Mosque)周辺で大事業を展開しているドルーブ会社(Doroob Company)とその共同事業者のメッカ市(Mecca)である。 6.3.2 鉄道の名
軽便鉄道(Light Rail service) 6.3.3 事業の目的
ドルーブ会社(Doroob Company)では大モスク(Grand Mosque)周辺で展開している大きな事業をの1つとしてマッカ(Makkah)の交通渋滞を軽減するために軽便鉄道を通年、シェシャ(Shesha)からガッザ(Ghazza)まで運行する。この事業は聖都市の増大する交通問題に備えるマッカ市役所と共同で遂行される。そして2009 年 5 月 16 日に1時間当たり60,000人の乗客を運搬できる延長4.5km複線の軽便鉄道として承認された。 6.4.4 事業概要
ダルブ マシャイール(Darb Al-Mashair)と呼ばれる75億リヤル（20億ドル）の巨大事業はビン ダウド シェシャ(Bin Dawood Shesha)からミナー(Mina)へと続く歩行者専用道路までの1,185,000平方メートル開発が含まれている。軽便鉄道を含む多目的用途のために2012年までに開発する地帯には150,000平方メートルの2棟の50階建て高層ビル、278,000平方メートルのドームで覆われたショッピング モール、292,000平方メートルのホテル用地および293,000平方メートルの駐車場が含まれている。
軽便鉄道の駅は37,000平方メートルの用地でシェシャ(Shesha)とガッザ(Ghazza)に作られ、大モスクに向かい合う。軌道はフェンスで囲まれ、歩行者用のトンネルを通過する。軌道の途切れを無くすために道路の上を通るようにレールが建設される。この事業には大モスクの入り口までの歩く歩道(Travelators)と呼ばれる両方向の電気駆動のベルトウェーが含まれている。
7. メッカ市近代化への都市改造(Remodeling Mecca for Modernization)
7.1 故ファハド国王の勅命(Massive Development Plan for Mecca)
この数十年間の間に近代的な交通手段が巡礼の数を飛躍的に増やした。今では毎年、200万余人が巡礼を行う。伝統的なイスラーム世界ばかりではなく、イスラーム世界の中心的な地域以外の西ヨーロッパ、南北アメリカやオーストラリアからもやってくるので、ロサンジェルス(Los Angeles)、カラカス(Caravas)、ロンドン(London)やダカール(Dakar)、サマルカンド(Samarqand)、ジャカルタ(Jakarta)から訪れた多くの巡礼達を見かける。巡礼者達のこの膨大な数の増大に対応する為にメッカの大モスク(Great Mosque)とマディーナの預言者モスク(Mosque of Prophet)には広大な拡張が行われてきた。その結果、この二つの聖域周囲の多くの住宅地を撤去する代償として歴史的な建物やイスラームの聖なる歴史の多くの出来事のあった場所を破壊する事にもなっている。
近代化による破壊にもかかわらず、注目すべきは聖なる長老アブラハム(Patriarch Abraham)*によって始められ、イスラーム預言者(Prophet of Islam)によって復旧された儀式が今日の世界でも特異な行事として続いている事である。
故ファハド国王(King Fahd bin Abdul Aziz Al Saud, Reign June 13, 1982 – August 1, 2005)が戴冠した1982年以来、サウジ政府は1,000億リヤル（270億ドル）以上をマッカの大モスク(Grand Mosque)およびマディーナの預言者モスク(Prophet’s Mosque)の大規模な拡張のために費やしてきた。この拡張で今では200万人の信徒が大モスクに集えるようになり、100万人の信徒が預言者モスクで祈りを捧げられるようになった。
現在も聖都マッカを改善するための幾つかの計画を含むマッカ開発計画(Makkah Development Plan)が遂行中であり、もっと多くの人々を収容できる地域が創出されつつある。
この開発計画は、又、駐車能力を45,000台に増加させ、歩行者用の地域を6,000平方メートルから12,000平方メートルに拡張する。大モスク(Grand Mosque)周囲の伝統的なスーク群(Souks)は180,000平方メートルに散在していたが、これに代わる超近代的なモールとマーケットが660,000平方メートル規模で設けられる。
礼拝者達の動きに対応するために主要道路に下に設けられている歩行者専用トンネルに加え、全てモスクへと通じる40脇道が作られる。現在、モスクの周囲には庭園がないが、数千本の樹木が植えられた30,000平方メートル以上の公園が計画されている。
主要事業の1つはモスクを見晴らすオマル山(Jabal Omar)開発計画（当初予算60億リアル或は16億ドル）である。このために数百軒の古いビルが撤去され、各々20階建てで、全体で100,000人収容できる120余棟の住居用高層ビルがこの山地に建てられている。
別の計画ではモスクの一番縁に位置する古いアジヤード病院(Old Ajyad Hospital)の敷地から数棟の高層階を持つ、住宅件ショッピングセンターが建設され、近代的な病院がこのセンターの一部として建てられている。
又、当局は石投げの儀式が行われるジャムラト(Jamrat)*を300万人の巡礼を支えられるように増強することを計画した。ハッジ担当のマンスウル トルキー準将(Brig, Mansour Al-Turki)は「通行と歩行者の動きに対応するためにジャムラト地区の地下にトンネル網を建設する計画があった。さらに4階建ての橋を巡礼達が石投げの儀式を容易に行える様に整える予定でいた」と言っていた。ジャムラトへでは巡礼達が悪魔を象徴する柱に4日間続けて石を投げつける。
この様な大規模な拡張やハッジ期間に対する毎年のサウジ官憲による念入りで周到な準備にもかかわらず、「第3.6章 難儀な旅と儀式での事故(Hazardous Journey and Unhappy Incidents)」に掲載した表「ハッジ期間中の事故」に示した不幸な事故が発生してきた。
又、同じく第3.6章で述べた様に、2004年2月1日にはミナー(Mina)での悪魔への石投げの儀式の最中の群集殺到で251名が犠牲となった。その翌日の2004年2月2日（月）に2つの聖モスクの守護者故ファハド国王は現在と将来の必要性を踏まえ、マッカ(Makkah)、マディーナ(Madinah)およびその他の聖なるサイトに対する大規模な開発計画を命令した。
国王は「都市村落相プリンス マンスール ビン ミテブ(Prince Mansour bin Miteb)を議長とする委員会によって20年計画が立案される」と勅令で声明を出した。故ファハド国王はこの決定を皇太子兼第二首相兼親衛隊司令官であったアブドゥッラー現国王(Abdullah Bin Abdulaziz Bin Abdulrahman Bin Faisal Bin Turki Bin Abdullah Bin Mohammed Bin Saud, Reign August 1, 2005 – present)の推奨のもとに行った。
この委員会は都市村落相 ミテブ ビン アブドゥル アジズ殿下(Prince Miteb Bin Abdul Aziz)を議長とし、マッカ州知事アブドゥル マジード殿下(Prince Abdul-Majeed Bin Abdul Aziz)、マディーナ知事ムクリム殿下(Prince Meqrin Bin Abdul Aziz)およびイヤド マダニ(Iyad Madani) ハッジ相が参加し、必要に応じて内外の専門家を招聘してきた。この新しい組織は特別予算を割り当てられ、勅令は特に制限は付けず、「委員会はマッカ(Makkah)、マディーナ(Madinah)およびその他の聖なるサイトの開発に対する20年以上にわたる総合計画を立案し、当局が必要な施策を実施する助けとなる計画を提出しなければならない」と述べている。 7.1.1 ジャムラト橋(Jamrat Bridge)
ジャムラト橋(Jamrat Bridge)は巡礼儀式(Hajj)の1つである石投げの儀式(Ramy al-Jamarat)の間、イスラーム教徒達(Muslims)によって使われるミナー(Mina)に設けられた歩道橋(Pedestrian Bridge)である。この橋は1963年に建設されたが、その後、何度も拡張している。この橋はミナー(Mina)にある3本の悪魔の石柱(3 Jamras)に巡礼達が地上或は橋上から石を投げつけられる様に設けられ、橋にはその為の開口部が3ヶ所あった。2006年までは一層構造であり、100万人を超す巡礼達が石投げの儀式に集まるように成ってからは前述の表「ハッジ期間中の事故」に示す様に時々、致命的な事故を起こしている。
ジャムラト橋では2006年1月12日に345名の犠牲者を出した後、それまでの一層構造の橋は撤去され、新しい多層構造の橋に取り替えられた。この橋の2層は2006年末から2007年初の巡礼期間までに建設され、残りの2層は2007年の巡礼期間前に完成した。
一方、20年計画では巡礼達が柱に殺到するのを防ぐために9階建てのジャムラト橋(Jamarat Bridge)が建設が検討されている。2つの聖モスクの守護者(Custodian of Two Holy Mosques)ハッジ研究所(Hajj Research Institute)の技術･研究部長マハンメド イドリス博士(Dr. Mohammed Idris)は「新しい橋は2層だった橋を取り替えるために建設され、新しい橋の5層は第1期工事、4層は第2期工事と2段階に分けて施行される」と言う。
ジャムラト橋(Jamarat Bridge)の最初の5層は1日当たり300万人の巡礼達を収容でき、9層全てが完成すると1日当たり900万人の巡礼達を受け入れられる様になる。巡礼達は坂(Ramp)や階段でこの橋に登るが、身体障害者用にエスカレーターやエレベーターも備え付けられている。 7. 2 摂政アブドゥッラーのメッカ拡張更新事業
アブドゥッラー皇太子（現国王）は2004年11月7日（日）に総額500億リアル（133億ドル）にのぼるメッカ市街地の拡張や更新の為の下記6主要開発事業に着手し、現在も遂行中である。
キング アブドゥル アジズ道路(King Abdul Aziz Road) オマル山住居用高層ビル群建設事業(Jabal Omar Residential Towers) シャミヤ地区の開発事業(Al Shamiya) アジヤド総合病院再開発事業(Ajyad General Hospital and Surrounding Area) カンダマ山不動産事業(Jabal Khandama Real Estate Project) カアバ山地区開発事業(Jabal Kaaba Area)
これらの事業は世界中からハッジ(Haj)とウムラ(Umrah)のためにやってくる数百万人の巡礼達の為にもっと多くの居住施設および礼拝施設を整えることを目的としている。これらの事業にはマッカ開発局(Makkah Development Authority)が50年開発計画として立案した聖モスク(Haram Mosque)の北庭拡張、シャミヤ（Shamiya or Shamyah)や前述のオマル山(Jabal Omar)開発計画およびアジヤード病院(Ajyad Hospital)の再開発等の住居用高層ビル(Residential Towers)建設が含まれて居る。
この摂政アブドゥッラーのメッカ拡張更新事業は2つの聖モスクの守護者故ファハド国王が2004年2月2日（月）にマッカ、マディーナおよびその他の聖なるサイトに対する現在と将来の必要性に対応する為の大規模な開発計画を命じた勅命に基づいて遂行されていた。
アブドゥッラー皇太子（現国王）は2004年11月7日（日）にマッカ開発局(Makkah Development Authority)が準備したマッカ50年開発計画を視察し、事業費が60億リアル（16億ドル）から120億リヤル（32億ドル）に倍増されたオマル山(Jabal Omar)開発計画の礎石を据えた。さらに、アブドゥッラー皇太子（現国王）はカンダマ山(Jabal Khandama or Jabal Khindmah)とカアバ山(Jabal Kaaba or Kabba)での住宅・商業事業を開始した。
これらの事業は古く荒廃した建物群を撤去した跡のこの聖なる市の中心地域での再開発と交通システムの確保と交通渋滞緩和も目的としており、500億ドル以上の投資を引き付けると予想されていた。
（注） この時点でマッカ開発機構(Makkah Development Authority)が計画していた開発の総面積は587,250平方メートルであり、その内の90%に古い建物があった。アブドゥッラ殿下か見学した今後50年間のメッカ市の開発計画のモデルによれは、この開発には住居や商業ビルに加えてこの計画には道路、公園およびサービス施設も含まれていた。
7.2.1 キング アブドゥル アジズ道路(King Abdul Aziz Road)
聖モスク(Haram)の東側に新設される新キング アブドゥル アジズ環状道路(New King Abdul Aziz Ring Road)はモスクを訪問する住民達と巡礼達の交通混雑を緩和する目的も持っている。この事業には将来の交通要件も考慮に入れられている。延長4km、幅80mの道路はジェッダ – メッカ高速道路とつなげられる。
この新道路はメッカ市入り口を起点とし、聖モスク(Grand Mosque)に近いオマル山(Jebel Omar)までウム クラ道路(Um Al-Qura)と平行して、マッカ建設会社の住居兼商業コンプレックスの裏の第一環状道路の終点からオマル山を抜けてジェッダ･マッカ高速道路に達する。新しい道路は延長1,000mのトンネルを持ち、マワルカ(Mawarka)、タンドバウェ(Tandbawe)、グラブ山(Jabal Ghurab)、ルサイファ(Risaifa)およびザハリーン(Zahareen)を抜けてゆく。建設は2009年6月に起工し、2011年末に完成する。
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2009年3月までにアブドラアジズ道路(King Abdul Aziz Road)はハラマイン鉄道と調整し、ハラマイン鉄道駅建設用地を含め必要な土地の収用と境界線の確定を80%終えている。
キング アブドラ アジズ道路はハラマイン鉄道(Haramain Railway)に平行に走っており、道路用地の残りの部分の収用は4月末から開始される。道路の建設会社は道路の敷地内の土地所有者に有償で売却するか、あるいはこの投資事業の株を買い取るかの選択を与えている。道路敷きには無いが、モスク、駐車場、その他の付帯施設用地収容に必要となる600のその他土地の所有者には土地価格評価委員会(Property Estimation Committee)によって査定された評価額を支払う。土地価格評価委員会は「道路は計画に無かった多くの地区を通り、この事業を完成させる為には6,000の資産を追加して撤去しなければならないだろう。60m幅の延長5kmのオマル山地区(Jabal Omar Area)とマッカ・ジェッダ高速道路を結ぶこの事業は毎年のハッジとウムラを行う為にやって来る訪問者達の60%以上が使用するマッカへの入り口を変えることが期待されている」と言っている。
聖都間鉄道とキング アブドゥル アジズ道路 Saudi Gazette dated April 5, 2009
新しいキング アブドゥル アジズ道路(King Abdul Aziz Road)と大モスク(Grand Mosque)の西庭を結ぶ40m幅の歩行者専用道路は現在工事中である。この歩行者専用道路は「もっとも混雑する時期の間に大モスクを西側から訪れる巡礼達の為のトンネルを建設する」との前の計画の代替案である。キング アブドゥル アジズ歩道(King Abdul Aziz Pedestrian Road)と呼ばれる道路の建設はオマル山開発会社(Jabal Omar Development Co.,)が請け負っている。オマル山事業(Jamal Omar Project)は事業対象区域に出入りする通行の混雑を緩和する為に環状道路(Circular Road)も含まれている。混雑するイブラヒム カリル道路(Inrahim Khalil Road)でも通行人が車の往来と混じりあわない様に自動車用のくぐりぬけ道路が見られる。完成すれば、この事業対象区域では最盛期には40,000人の礼拝者達を受け入れられる。
7.2.2 オマル山住居用高層ビル群建設事業(Jabal Omar Residential Towers)
オマル山事業(Jamal Omar Project)は1つの巨大事業で大モスク(Grand Mosque) に近い南西の山岳地帯に位置する。この地区の丘陵を平らにする作業は既に始っており、新しい居住地区を作り出す。
120億ドル規模のオマル山住居用高層ビル群建設事業(Jabal Omar Residential Towers)はマッカの見かけを変えると期待されている。この事業の現場工事は8月にこの地区の580の建物を撤去し、100,000名を収容できる設計の新しい高層ビル群が立てるためにユーティリティ供給を止めることで始った。
この事業は聖域(Holy Haram)を囲む開発地区の中ではもっとも大規模な計画の1つである。この開発地区の面積は230,000平方メートルで事業には5つ星のホテル、商業センターおよび200,000人の信徒の為の礼拝の施設が含まれている。この事業では4,500店舗と3,000のショールーム、中央交通所(central Transport Station)および12,000台分の駐車場が建設される。この事業はモデルとなる住宅商業センターであり、新しい道路、小道、トンネル、エスカレーター等の施設を持ち、100,000人用の住居施設、100,000人分の空調付の礼拝場および120,000人分の野外礼拝場を創設する。
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オマル山開発株式会社(Joint Stock Company)はこの事業を遂行する為に設立された。この会社はこの地区の不動産所有者の持分11億リヤルを含め35億リヤル（9.3億ドル）の資本金をもっている。この持分の内の8.5億リヤルは一般に公開されている。この事業のために取得した不動産の価格は43億リヤル（11.5億ドル）と推定されている。基盤整備の建設に12億リヤル（3.2億ドル）、ホテルと住居用高層ビル建設に45億リヤル（12億ドル）が必要である。 7.2.3 シャミヤ地区の開発事業(Development Project Shamiya)
シャミヤ事業(Shamiya Project)はモスクの北にもっと広い礼拝場所を整え、巡礼達の交通を容易にするために計画されている。多くのホテルや家具・備品付のアパートがこの地区に建設され、もっと多くの公共サービスも整えられる。
シャミヤ事業(Shamiya Project)は聖モスク(Haram Mosque)北庭の拡張を含み、この事業だけで205,000人以上の巡礼達の住居と400,000人用の礼拝地区を整備すると共に、聖なるサイト周囲の巡礼達の自由な移動を可能にする。
これらの拡張や更新の新事業は全世界からハッジ(Hajj)とウムラ(Umrah)のためにやってくる数百万の巡礼達を受け入れる施設の厚生、安全および保安に対する改善施策であった。これら事業は90％を古い建物が競い合っているメッカ中心部の無秩序に発展してきた地区の古くて老朽化した建物を取り除き、もっと多くの祈りの場所と宿泊施設を巡礼達(Pilgrims)や参拝者(Worshippers)のために創設し、そして交通手段を確保できると新しい町への再開発するのが目途である。
この事業はモスクの北側の中庭拡張も含んでいる。6つのデザインがこの拡張のために国際企業によって準備されてきた。これらのデザインの対象は聖モスクと北へは第2環状道路、東へは聖モスク通り(Masjidul Haram Street)そして西へはカアバ山通り(Jabar Al-Kaaba Street)に囲まれる150万平方メートル(1.5 million square meters)の地区である。この内の約36から43ヘクタールはモスクの北側の中庭拡張(Expansion of Mosque’s Northern Courtyard)の為に残される。
アブドゥッラー国王が命じたモスクの拡張はシャミヤ(Shamiya)地区内の1,000軒の地所を取り壊す結果となった。伝えられている60億リヤル（16億ドル）の基金がモスク近くの庭用地を大規模に拡張する為に収用権(Eminent Domain)によって接収された地所の所有者を補償するために設立された。
（注） 収用権(Eminent Domain)： 政府が所有者の承諾なしに私有財産を公益のために収用する権利。
シャミヤ地区(Shamiya)の開発は35億リヤル（9.3億ドル）の予算でオウラ開発会社(Al Oula Development Company)によって行われており、第一期工事には3年を要し、最終的な完成までには10年掛かる予定である。オウラ開発会社はシャミヤ地区開発の受け皿として自らが70%の株式を保有するシャミヤ会社(Al-Shamiya Company)を設立している。 7.2.4 アジヤド総合病院(Ajyad General Hospital and Surrounding Area)再開発事業
モスク東南のアジュヤド病院(Ajyad Hospital)周囲地区の拡張には最先端病院と医療センターが救急病院施設に加えて建設される。
マッカ開発機構(Makkah Development Authority) は既にアジャヤド病院とその周囲地区(Ajyad Hospital and Surrounding Area)の開発を検討していた。公共投資基金(Public Investment Fund)がこの区域の不動産所有者達に補償を支払った後、この再開発事業は続けられた。この計画ではモスクの一番縁に位置する古いアジヤード病院(Old Ajyad Hospital)の敷地から数棟の高層階を持つ、住宅件ショッピングセンターが建設され、近代的な病院がこのセンターの一部として建てられている。
http://www.worldarab.net/ar/content/ajyad-hospital8?size=_original 7.2.5 カンダマ山不動産事業(Jabal Khandama Real Estate Project)
古く荒廃した建物群を撤去し、近代的居住ビルおよび商業施設の建設する都市再開発事業である。新しく開発されるカンダマ山地区(Jabal Khandama Area)は聖モスク(Haram)の南東に位置している。北はマラウィ(Malawi)とシャアブ アアミール(Shaab Aaamir)と境し、南はバクシュ山(Jabal Bakhshu)と境する山陵地帯である。この地区は聖モスク(Haram)に非常に近いけれども、ほとんど人は住んで居ない。マッカ開発機構はこの地区に24,000人を収容できる居住施設を作る計画でいる。
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モスクに近い事業でカンダマ山事業(Jabal Khandama Project)と呼ばれ、モスクの東に位置し、多くの高層ホテルが含まれている。この事業の150,000平方メートルの15%はマッカ住人達に割り当てられる。
カンダマの建設計画はマッカ開発機構(Makkah Development Authority)と協力して準備された。最初の競売は区画を売る為に2005年12月21日に行われた。第一期計画は91区画137,000平方メートルである。この計画はカンダマ内にホテル、ショッピング センター、レストランおよび家具・備品付アパートを建設するために策定されてきた。かなりの面積が男女それぞれのお祈りの場所や駐車場に当てられるのに特徴がある。
カンダマ事業では60億リヤル（16億ドル）以上の投資が見込まれる一方で、4億リヤルの基盤整備費が必要になる。 7.2.6 カアバ山地区(Jabal Kaaba Area)開発事業
聖モスク(Haram)北東のカアバ山地区(Jabal Al-Kaaba)では46,000平方メートル余りが開発される。この事業も古く荒廃した建物群を撤去し、幾つかのホテル、商業センターおよび公共設備の建設を計画している。この地区の開発にはアブドゥル ラティーフ ジャミール(Abdul Latif Jameel Real Estate Investment Company)、スワイケト( Al-Suwaiket Group's)等が参画している。
Jabal Al Kaaba project by Al-Suwaiket Group http://www.ameinfo.com/36414.html 7.2.7 その他の開発事業
a. ヒジラ地域開発事業(Hijrah Region Project)
もう1つの巨大事業としてはモスク南のヒジラ地域(Hijrah Region)の開発が遂行されている。この事業では礼拝場の広さを1,170平方メートルから30,000平方メートルに拡張し、1,000台以上収用できる駐車場を整える。
b. 北門事業(Northern Gate Project)
大きな高層ビルを含む北門事業(Northern Gate Project)はモスク近傍で実施されるもう1つの大きな事業である。世界で最大でもっとも重要なモスクを取り巻く庭の総面積は40,000平方メートル以上と推定され、この面積には少なくとも100,000人の礼拝者達を収容できる。 7.3 アブドゥル アジズ王寄贈事業(King Abdul Aziz Endowment Project)
7.3 1 アブラジ バイト タワー(Abraj Al-Bait Tower)
メッカ時計台(Makkah Clock Tower)あるいメッカ ロイヤル クロック タワー(Mecca Royal Clock Hotel Tower)とも呼ばれるアブラジ バイト(Abraj Al-Bait) （アブラージュ・アル・ベイト・タワーズ（Abraj Al-Bait Towers）はアブドゥッラー国王(King Abdullah)の指示で建設された聖なる市の中心で、イブラヒム カリル道路(Ibrahim Al-Khalil Street)に沿ってマッカの大モスク(Grand Mozque)の中心部を見晴らす場所に位置する7棟の優雅な高層ビルで構成されコンプレックスである。このコンプレックスは2つの聖なるモスクのアブドゥル アジズ王寄贈事業(King Abdul Aziz Endowment Project)の一部であり、世界中からマッカのやってくる訪問者達に提供する為に作られた建築のランドマークである。その建設はビンラーデン(Saudi Binladin Group)が担当し、2004年に着工し、2011年に完工予定であり、総工費は20億ドルと推定されている。
完成するとこのコンプレックス内の最も高い76階建て595mのタワーはサウジアラビアで最も高いビルとなる。第5棟の402mの高さには四面それぞれに時計が取り付けられている。その内の2つは高さ80m・幅65m・直径39mであり、他の2つは高さ65m･幅43m・直径25mで、世界一高い時計台となる。
Source: Arab News dated June 13, 2010
このコンプレックスの244,800平方メートルにおよぶ敷地はイスラームのもっとも聖なる場所であるカアバ神殿(Kaaba)を含む聖モスク(Masjid al Haram)の南入り口の通りを跨いでいる。建設に際しては歴史的なオスマン帝国アジヤド砦(Ottoman Ajyad Fortress)を完全に撤去し、600を超える地所がこの開発事業のために収用された。完成すると床面積は1,455,000万平方メートルで、その敷地には935室を持つ2つの五星ホテル、1,255室を持つ6つの三星ホテルがこの敷地に含まれ、1万人近い人々を収容できる大礼拝室を持ち、カアバ神殿を訪れる礼拝者達65,000人が宿泊できる世界最大のホテルとである。
アブラジ バイトは住人の利便性のために4,360の商業・小売店舗および520店のレストランが入店した4階建ての近代的なショッピング モールと10,000台を超す車を収用する駐車ガレージを備えている。20階建て高層居住用ビル群には100,000人余の定住者を収容する一方で、2つのヘリポートがあり、ビジネス訪問者用の会議室がある。更に100,000人の礼拝者達を収容する空調付公共空間(Air Comditioned Plazas)と120,000人分の野外の方庭(Open Courtyards)が含まれている。
世界的不動産開発大手エマール(Emaar)は高層住宅ビル アブラジ バイトの最上階に家具･調度･備品完備のエマール住居を提案している。これらの住居とはアブラジ バイト(Abraj Al-Bait)内の1から3ベッドルームのアパートである。 これらの住居は広さが40から60平方メートルで位置し、時間分割式共同賃貸も提供している。
「アブラジ バイト(Abraj Al-Bait)はアブドゥッラー国王の聖なる市への巡礼達に力を尽くすと云う思いを充足している。我々はアブドゥッラー国王からイスラームの伝統を強調するこの羨ましい程の開発の一端を担う機会を与えて戴いたことに感謝している」とエマール インターナショナル(Emaar International)社長(Managing Director)イッサム ガラダリ(Issam Galadari)は言っている。
エマールの住居は巡礼達や聖なる市に住居を持ちたいと願う家族達にとって理想的であり、このアパート群は巡礼月(Haj)や断食月(Ramadan)の間や後でも非常に需要が多い。
マッカ アブラジ バイトのエマール住居は部屋から聖なるカアバ(Holy Kaaba)、聖モスク(Haram)あるいはマッカ市を見渡せると云う恩典がある。ルームサービスおよび家事サービスを整えられ、安全と治安の観点から最高の注意がはらわれている。各住居には高速テレコム施設のために一番最新式のデジタルネットワークを特色にしている。高速エレベーターがお祈りの時間の最中であっても住居への高速出入りを提供している。
アパートは優雅に現代風の調度品やデザインが整えながら、イスラーム構造物の特徴をを維持している。簡易台所、居間、食堂、作り付けの衣装ダンス、浴場はどの部屋にでも標準的に備えられている。エマール住人達は、又、ホテルやレジャーおよびフィットネス施設に簡単に行き来できる。 7.3.2 アブドゥッラー国王の第2次メッカ寄贈事業(Second King Abdul Aziz Endowment Project in Makkah)
2つの聖モスクの守護者アブドゥッラー国王は2008年9月23日（火）夜遅く第2次メッカ寄贈事業に着手した。この事業では大モスク(Grand Mosque)に接近して位置する敷地30,000平方メートルに11の居住用高層ビルを建設し、55,000名の巡礼達と訪問者達の収容能力をもつ7,000室を確保する。又、この事業では少なくとも30,000人の礼拝者達を収容できる大規模な礼拝場も整えられる。
Source: Arab News dated September 25, 2008
この事業の礎石を置いた跡でアブドゥッラー国王はこの慈善事業の模型を視察し、「この施設を巡礼達と訪問者達の役に立たせたい」との希望を表明した。
イスラーム行事、寄贈、ダワ(Dawa)（布教）および指導担当相サレー アシェイク(Saleh Al-Sheikh)は「預言者ムハンマド(Prophet Muhmmad)の聖友達(Companions)はモスクや学び舎を作るだけではなく、水や健康事業も作るための寄贈を始め、サウジアラビア創建者アブドゥル アジズ国王はハッジ(Haj)やウムラ(Umrah)を行う為に世界中のさまざまに異なった場所からやってくる巡礼達の治安と安全(Security and Safety)を保証した」とイスラームでの寄贈の伝統を紹介した。
2つの聖モスクの管理機構長官シャイク サレー ホサイン(Sheikh Saleh Al-Hosain)は「この事業は最盛期の混雑を緩和し、巡礼達の移動を容易にする為に大モスク(Grand Mosque)に近接して作られ、住人達と巡礼達の治安と安全(Security and Safety)を最優先させている為に遂行される｣と紹介している。
この開発事業の設計はサウジアラビア国内の5つのコンサルタントおよびエンジニアリング会社が当たった。ホサイン長官は｢資金調達を討議する実業家達の研究集会に加えて、開発業者オウラ開発会社(Al-Oula Development Company)と条件付で契約が交わされた。その条件とは聖モスク寄金(Haram Endowment)はこの事業から35%の還付を受け、オウラ開発は7年以内にこの事業が完全に聖モスク寄金の所有に移るまで65%の還付を受ける｣と言った。その後はこの事業からの歳入全ては聖モスク寄金が受け取る。新しい居住用高層ビル群には1,900のトイレと560台分の車と40台分のバスの駐車場が設けられる。
（注） 第2次メッカ寄贈事業に関連する記事で「大モスク(Grand Mosque)に接近して位置する敷地30,000平方メートル」以外に具体的に事業名は示されていない。この記述と開発業者がオウラ開発会社(Al-Oula Development Company)である事から北門事業(Northern Gate Project)が一番それらしいと思う。北門事業はオウラ開発会社(Al-Oula Development Company)と契約が交わされたシャミヤ事業(Shamiya Project)に含まれた事業群の一つである。 7.4 これからの開発計画等(Next Development Plan etc.)
7.4.1 マッカおよび聖なるサイト開発機構(Makkah and Holy Sites Development Authority, MHSDA)
2010年1月6日（水）にマッカ州知事カリド ファイサル殿下(Prince Khaled Al-Faisal)は「マッカおよび聖なるサイト開発機構(Makkah and Holy Sites Development Authority, MHSDA)」の最初の会議をジェッダにある州庁舎で招集し、議長をつとめた。新しい機構は「旧マッカ、マディーナおよび聖なるサイト開発機構(Old Development Authority for Makkah and Madhina and Holy Sites)」を2つの聖都市に対する2つの別々の開発機構によって置き換える勅令に基づいて組織された。
マディーナ(Madhina)の開発を担当する機構はマディーナ知事アブドゥル アジズ マジェド殿下(Prince Abdul Aziz bin Majed)が長となり、カリド殿下はマッカの開発を担当する機構を率いる事となる。古い開発機構を2つに分ける決定は聖都市の開発を強力に促進させ、事業群の円滑な遂行を確保することを目的としている。
両方の機構ともそれぞれの機構を担当するマッカ知事およびマディーナ知事に加えて財務相およびハッジ相が参加する。会議はマッカの新しい機構の書記長としてサミ バルハミン(Sami Barhamin)を任命した。カリド殿下は会議の中で国際業者がマッカ開発の新事業群に関する検討を行う事を告げた。
この会議では、また、「マッカおよび聖なるサイト開発機構(Makkah and Holy Sites Development Authority, MHSDA)」に対する実行委員会の綿密な計画についても論議された。これまでの2聖都市に対する開発機構からMHSDAに対する分離された財政配分問題も議論中である。
マッカ市長オアマ バール(Makkah Mayor Osama Al-Barr)によれば、聖都市で実施されている開発事業群に対する延期や遅れは無く、全ての事業は計画通り実施され、遅れは無い。マッカとマディーナをむすぶハラマイン鉄道事業(Al-Haramain Railway Project)の全ての関係者の会議が最近、行われ、鉄道駅の位置も決定され、それはマッカの西で、ジェッダ・マッカ高速道路の南、環状道路の東である。
（注） 「7.2.1. キング アブドゥル アジズ道路(King Abdul Aziz Road)」掲載の映像｢聖都間鉄道とキング アブドゥル アジズ道路」と判断すると私にはハラマン鉄道
財務相イブラヒム アッサフ(Finance Minister Ibrahim Al-Assaf)およぶ交通相ジャバラ セライスリ(Transport Minster Jabara Al-Seraisry)は鉄道事業の管理に対する契約を英国籍の会社と調印した。
聖なるサイトへのモノレール事業も予定通りに進んでおり、誰でも聖なるサイトを訪問した人はこの工事の進捗を見ることが出来る。又、キング アブドゥル アジズ バイパス(King Abdul Aziz Parallel Road)も相当に進捗しており。モノレール事業はサウジ国内および近隣の湾岸諸国から陸路訪れる巡礼達によって使われている53,000台のバスとその他の車両をなくす助けとなると期待されている。 7.4.2 メッカ経済都市構想
マッカをジェッダと結び付ける統合的な経済都市を創設する計画がマッカ商工会議所から提案されている。アブドゥッラー国王に認可を得るために紹介された「仮称ウンム クラ経済都市(Umm Al-Qura Ecomomic City)」は私企業と国民生産に新たな機会を開けさせ、15,000人分の雇用創出効果があると期待されている。この開発計画は投資規模100億リヤル（27億ドル）で、その開発を推進する会社の株式の30%は一般に新規公開され、残りを創立者達が充当する。この事業の用地として2ヶ所が提案されており、1ヶ所はマッカ国立公園に近いマッカ・ジェッダ高速道路沿いであり、もう1ヶ所は紅海沿岸の小さな町シュアイバ(Shuaiba)である。
「サウジアラビア総合投資庁(Saudi Arabia General Investment Authority, SAGIA)の担当官はマッカの事業家達とリヤドで会い、手短にこの事業の詳細について討議した」と消息筋は言っているが、具体化には至っていない。 7.4.3 マッカのインテリジェンス化
「どの様にしてマッカをハッジとウムラにやって来る数百万人の巡礼達に奉仕するための進歩した施設やサービスを持つ情報都市に移行させるか」との課題は2009年1月19日（月）にウンム クラ大学(Umm Al-Qura University)で開かれる会議で討議された。この会議はマッカ市役所が通信情報技術委員会(Communications and Information Technology Commission)およびハッジ研究センター(Haj Research Center)と協力して開催され、マッカ州知事カリド ファイサル殿下(Prince Khaled Al-Faisal)がその開会を宣した。
主要討議者はアブドゥラアジズ科学技術都市総裁モハンメド シュワイイェル(Mohammed Al-Shuwaiyel)、韓国コンクク大学(Konkuk University)副学長キム チョオン ホ(Kim Choon-Ho)、情報地域社会フォーラム(Intelligent Community Forum)会長ジョン G. ジュング(John G. Jung)、サウジアラビア総合投資局(Saudi Arabia General Investment Authority)のアハマド ヤマニ(Ahmad Yamani)、サウジ郵便会社(Saudi Post)社長 モハメド バンテン(Mohamed Banten)、オマル山開発会社(Jamal Omar Development Co.,)会長 アブドゥル ラハマン ファキーフ(Andul Rahman Faqeeh)、サウジ ビンラーディン グループ(Saudi Binladin Group)副社長 モハンマド ビンラディン(Mohammad Binladin)などであり、下記の様な事項が討議された。
a. マッカ市民、住人および巡礼に対してマッカ市の様々な政府部局によって提供されるサービスを改善する。
b. マッカ市を知識と情報の蓄積に基礎を置く社会に発展させ、そしてデジタル経済に発展させ、情報都市の将来の為の構想を考案する。
c. マッカの国際的な情報都市への変換は世界中からやってくる巡礼達の宿舎、食事、情報と連絡チャンネルおよび様々交通手段等の要求に対応する。又、新しい情報都市のアプリケーションには電子ビザの発給、電子輸送体制、医療体制、対話式の群衆管理、ハイテク警備体制、対話式の地理情報システムおよびハイテクハッジ カードの準備等が含まれる。
d. 固定および無線を統合したブロードバンド ネットワーク、固定および無線のGISおよびGPSアプリケーションおよび扱いやすい情報・通信拠点等の最新技術の組み合わせが訪問者の経験および市当局の巡礼者達に対する質の良いサービスを提供と云う目的を著しく向上できる。
e. 電子政府(e-government)、安全制御システム、警備へのアプリケーション、情報都市管理へのアプリケーションおよびICTに精通した大きな共同体をどう発展させるか等が課題である。
マッカ市長オサマ バール(Osama Al-Bar)は「増大する巡礼の人数を収容する為の聖なるサイトの能力の拡大はサウジアラビアのハッジ管理者が直面する主要な課題であり、市役所のサービスを向上させるための戦略的計画として情報都市の条件に合わせるための多くの新たなアプリケーションを開発したい」と述べる一方で、会議の代表は「マッカをスマート都市の開発移行させる基盤整備事業の実施は2010年から始るだろう。そして新しいエレクトロニク アプリケーションは毎年この聖なる市を訪問する数百万人の巡礼達に寄与するだろう」と言った。この件については近代的なシステムを適用してマッカを開発移行させる戦略的な計画の実施のためにマッカ知事カリド ファイサル殿下(Prince Khaled Al-Faisal)を議長とする作業班が検討を始めている。 7.4.4 マッカの開発計画(Development Plan for Makkah)
マッカ知事カリド ファイサル殿下(Prince Khaled Al-Faisal)は2009年8月17日に「マッカの不毛な近郊を開発する事業を実施する前に全ての障害を乗り越え、マッカを世界中でもっとも美しく、清潔で洗練され、進歩した都市の1つにすると決定した」と言い、マッカの開発計画(Development Plan for Makkah)を発表した。
この開発計画ではハッジ(Hajj)とウムラ(Umrah)の為にマッカを訪問する巡礼者達へのサービスに対して建物の品質、交通手段、道路システムおよび最新技術の適用が導入される。その一方で、一般的な都市のそれとは異なり、マッカ独自の文化的アイデンティティと地位の保護が考慮されなければならない。それには人間性の開発を必要とするカアバ神殿(Holy Kaaba)を中心とした開発戦略が必要となる。この戦略では教育と訓練を通じて、ハッジ(Hajj)とウムラ(Umrah)へにサービスの向上、水需要増大による水問題の解決および基盤整備施設の拡大を担う人材開発に重点が置かれ、発展不十分な居住区域に住む人々の住環境改善がはかられなければならない。
マッカ州の包括的な開発計画の為に多くの新しいプロジェクトが立案されてきた。これらのプロジェクトには後進住宅地区開発、ジェッダの北部と南部の海岸線開発、タイフ(Taif)、クンフダ(Qunfuda)、ライス(Al-Laith)での観光開発等が含まれている。
特にマッカとジェッダの後進住宅地区開発計画はサウジアラビア最大のプロジェクトの 1 つであり、この計画は後進地区に住む人々の生活改善を目指している。このような地区はマッカ(Makkah)に60、ジェッダ(Jeddah)に52 ある。
この開発計画は単に住宅計画を作っているだけではなく、むしろそれは包括的な人道的・社会文化・健康・教育とセキュリティの為のプロジェクトでである。この開発計画ではショッピング センター、病院、学校、住宅団地が新たに後進地区に設けられるのでその町並みを大きく変わるだろう。
この開発計画は後進地区開発実行委員会の会長であるカリド ファイサル殿下が同殿下自身のアシール州知事(Governor of Asir Province)およびリヤド開発機関(Riyadh Development Authority)責任者であった30年間の経験に基づき、サウジアラビアの専門家の支援を得て、カナダのコンサルタント会社に立案させた。
この開発計画はマッカ、マディーナおよびミナー(Mina)、アラファト(Arafat)およびムズダリファ(Muzdalifa)等の聖なるサイト群のための建物の品質、交通手段、道路システムおよび近代的な技術の適用を含む包括的な開発計画(Comprehensive Development Plan for Makkah, Madinah and the Holy Sites of Mina, Arafat and Muzdalifa)に参画している国連チームの諮問も受けている。
マッカ州の居住区の全面積は2005年の1,822平方キロから登録が66.3%で延びるとすると2030年には3,032平方キロに増大すると期待されている。州の中の都市が占める64.2%で残りが村落である。アスファルト道路の敷地は2005年に1,600平方キロであったが、2030年には8,630平方キロとなる。
そしてこの開発計画は2010年5月5日に都市村落相プリンス マンスール ビン ミテブ殿下(Prince Mansour bin Miteb)によって「包括的な18年マッカ州開発計画(18-year development plan for Makkah province)」として承認された。
市街地計画担当副大臣代行ファリド ビン イブラヒム シェラ(Farid Ibrahim Shera)は「この計画は国家建設戦略・農村開発戦略に対するサウジ 5 カ年開発計画に基づき、必要な情報を収集し、社会・経済の要件道路、交通機関、インフラストラクチャ、状態のフィールド調査を実施し、それに基づいて立案されている。都市村落省はマッカ州に対する包括的開発計画立案の為に自然、社会、経済、環境要因を考慮に入れた入手可能なデータを使い、予想される人口増加とその州内への分布、経済開発計画の一般的なフレームワーク、公共サービスおよびインフラ施設の分布を考慮した」と述べている。
マッカ市長オサマ バール(Makkah Mayor Osama Al-Bar)は2010年1月にマッカの美化の為の最初のイスラーム コンテストの開催に先だち「このコンテストの準備にはイスラーム世界のマッカの顕著な地位を考慮し、計画を作るのに2年を費やした。国際的にマスコミに公表することも含め、市庁はこのコンテストにアラブおよびイスラーム国々からの大人数の芸術家達の参加を確実にすることを意図している。このコンテストの主たる目的はマッカ市の片隅をイスラーム芸術の美術館に改造することによるマッカに美化である。世界中のイスラーム芸術家達が自分達の技能や標準を展示するのによい機会であると共に、マッカの伝統を芸術に表現することによって広める目的もある」と述べている。
故ファハド国王(King Fahd bin Abdul Aziz Al Saud, Reign June 13, 1982 – August 1, 2005)が戴冠した1982年以来、推進されてきた「マッカの開発計画(Development Plan for Makkah)」は増大する巡礼や世の中の進化と共に、今後もさらに進化し、新たな開発が行われるだろう。
メッカはリヤドとジェッダの往復では必ず通る都市ではあっても、市の入り口には衛兵が立ち、イスラーム教徒(Muslim)以外は市への立ち入りが禁止されている為、訪れる事は無く、サウジアラビア紹介シリーズで掲載するにはためらいがあった。
しかしながら、イスラーム最大の聖地でサウジ有数の都市を掲載しないではシリーズとは呼べないと思い、簡単な説明で済ませるつもりで資料を集め始めた。調べ始めると内容があまりにも豊かで多様であり、全てをまとめるは難しいと感じた。ここでは巡礼のメッカと云う観点に焦点をあててみた。
カアバ神殿を海外から訪れる巡礼の数は19世紀後半に数万人であったのが、20世紀末には100万人、現在では150万人をはるかに超え、国内を合わせ巡礼者達の数は200万人を超えている。中国、インド、アフリカ等躍進する新興国や発展途上国のイスラーム教徒(Muslim)の巡礼に参加する数を考えるとその数は数百万人を超え、1,000万人と云う数字も非現実的では無くなっている。
これに対応する為にもサウジ政府は大モスク(Grand Mosque)を始め、聖なるサイトの拡張やメッカ市近代化への都市改造(Remodeling Mecca for Modernization)を遂行中であり、その実情と開発計画を出来るだけ集めてまとめた。
しかしながら、新聞記事やウェブ掲載に頼る作業では限界があり、どこまでフォロー出来たかは不確定である。当初はジェッダの都市改造、特にスカイスクレーパー(Skyscrapers in Jeddah)についても触れる心積もりをしていたが、サウジの中期計画である五カ年計画からのレビューが必要であり、そこからそれぞれの計画を追う作業に費やす時間を考え、今回の記述からは割愛した。
いずれにしても空港、道路、鉄道建設、給電、給水等の基盤整備事業を含め、新都市建設、都市改造等が想像を超える規模で遂行されている現実を改めて感じた。 参照資料(Reference)
イスラームの聖なる都市（祝福されたメッカと光り輝くメディーナ (Mecca the Blessed, Medina the Radiant)）、写真 アリ カズヨシ ノマチ(Ali Kazuyoshi Nomachi)、文 セイイェド ホッセイン ナスル博士(Dr. Seyyed Hossein Nasr)
Wikipedia
ウィキペディア
岩波イスラーム辞典
サウジ鉄道機構(Saudi Railway Organization, SRO)のホームページ (http://www.saudirailways.org/portal/page/portal/PRTS/root)
Arab News
Saudi Gazette
その他のウェッブページ
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