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豊かなオアシスに恵まれた原油の宝庫
(サウジアラビア王国東部州) その5 アラビア湾岸 (No. 5 Arabian Gulf_6) 著: 高橋俊二 |
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5. アラビア湾の動物種 5.1鳥類 5.2 海洋動物 5.3 海亀と海蛇 5.4 魚類 アラビア湾の中でも特にクウェイト、イラクおよびサウジアラビアには全体で3,650以上の動物種がいる。その中の約50種が国際的に絶滅の危機に晒されていると認識されている(注)。この中には20種類の鳥、20種類の哺乳動物(mammals)、3種類の爬虫類(reptiles)、2種類の魚、4種類の軟体動物(mollusc)および1種類の昆虫が含まれる。 (注)国際自然保護連合(IUCN、International Union fro Conservation of Nature and Natural Resources)が世界自然保護監視センター(the World Conservation Monitoring Center)と共に1990年に作成した危険物表を参照。
アラビア湾は鳥類に取って重要な地域である。特にアジア、旧ソビエト連邦やヨーロッパからの推定100万羽から200万羽の渡り鳥の越冬や移動中の中継地となっている。ここで巣作りし、産卵する為に飛来する種も少なくない。 少なくとも70種の沿岸性および海洋性の鳥たちが冬場のアラビア湾で観察されてきた。これらの鳥たちには渉禽類、カモメ、アジサシ、カイツブリ、ペリカン、鵜、鷺、フラミンゴ等がいる。 その中でも渉禽類は30種を越え、特に個体数の多いのはダンセン(Grey Plover、Pluvialis squatarola)、シロチドリ(Kenitish Plover)、メダイチドリ(Lesser Sand-plover)、ハジコロチドリ(Ringed Plover)、ダイシャクシギ(Eurasian Curlew)、アカアシシギ(Redshank)、トウネン(Little Stint)(オオバシギ属)、ハマシギ(Dunlin)、サルハマシギ(Curlew Sandpipper)およびキリアイ(Broad-billed Sandpiper)(シギ科)等である。
カモメ(Gulls)はアラビア湾に13種類居り、セグロカモメ(Herring Gull)、黒頭カモメ(Black-headed Gull)およびホソクチバシカモメ(Slender-billed Gull)が断然に一般的である。カモメ科のアジサシ(Terns)はオニアジサシ(Caspian Tern)、オオアジサシ(Greater-crested Tern)、小型冠アジサシ(Lesser-crested Tern)、アジサシ(Common Tern、Sterna hirundo)、ホウジロアジサシ(White-cheeked Tern)、クツワアジサシ(Bridled Tern)、ソーンダーズアジサシ(Sauders'Tern)およびコアジサシ(Little Turn) の8種類が居る。アジサシ達はこの海域の島や湿地帯で産卵する。 鵜(Cormorants)の仲間では大鵜(Great Cormorant)、ペルシャウ (Socotra Cormorant)およびピグミー鵜(Pygmy Cormorant)が目立つ。ペルシャウ (Socotra Cormorant)はその主要な産卵地がアラビア湾であり、僅かにはアデン湾(the Gulf of Aden)でも確認されている。幾つかの場所にさらに広がってはいるが、営巣地(breeding colonies)の荒廃と油濁汚染の影響で最近はアラビア湾の何処ででも数が減っていると言われている。 アラビア湾にはカイツブリおよびハジロカイツブリ(Black-necked Grebe)も棲息しており、ダルマティア ペリカン(Dalmatian Pelican)も目立つ。サギ(Herons and Egrets)の種類では一般的なのは灰色サギ(Grey Heron)と西洋洲シロサギ(Western Reef Egret)であり、その他にシロヘラサギ(White Spoonbill)と大フラミンゴ(Greater Flamingo)も棲息し、これらはアラビア湾のどこにでもかなりの個体数が見られる。
アラビア湾にはネズミイルカ(Porpoises)やイルカ(Dolphins)の様な小さなクジラ目(Cetacean)が棲息する。「大きなクジラ目はアラビア湾には棲息せず、孤立した個体や稀に座礁する事もある」と世界自然保護監視センターの専門家は報告しているが、現実にはカフジ(Khafji)の海岸に鯨が漂着しているし、目撃した話も聞いているので「アラビア湾における棲息は否定できない」と私は思う。 ザトウイルカ(Humpbacked Dolphin) (注)は沿岸の海岸近くで見受けられる。このイルカは20m以下の水深を好み、しばしばマングローブの水路、河口三角州の湾や浅瀬をしばしば訪れる。このイルカは個体数が少なく、棲息地の劣化(degradation)によっては絶滅も懸念される。 (注)一部スーザ プランビー(Sousa plimbea)を含むスーザ チャイニシス(Sousa chinesis))。 バンドウリイルカ(Bottlenose Dolphin、Tursiops truncatus)はアラビア湾の何処ででも見つけられる。多くは沖合に棲息しているが、水深30m以下の沿岸にも訪れる。マイルカ(Common Dolphin、Delphinus delphis)はアラビア湾では主として比較的水深の深い水域に留まっているが、浅い珊瑚海でも棲息する個体もいる。スナメリ (Finless Porpoise、Neophocaena phocaenoides)はアラビア湾でも見掛けたとの報告が稀にある。
浅い海に棲むジュゴン(Dugongs)は紅海とアラビア湾にも現在、棲息している。その多くが絶滅の危機にさらされ、或いは個体数がしている。1980年代の中頃に行われた実体調査でジュゴンは主として東部州のラス タヌラ(Ras Tanura)とアラブ首長国連邦のアブダビ(Abu Dhabi)間のアラビア湾の西部と南部に棲息する事が明らかになった。その主要な水域はバハレーンの西と東、カタールとアラブ首長国連邦間の東部州の孤立した水域およびアブダビの西である。アラビア湾内の推定個体数は7,130頭(+/- 1,300)であり、アラビア湾はオートラリアについで世界で2番目の規模を持つ重要なジュゴン棲息水域(the species' range)である。
ビロードカワウソ(Smooth-coated Otter or Indian Smooth-coated Otter、Lutra perspicillata)の少数がイラクのチグリス川(the Tigris River)に棲息している。そこでは沿岸のマングローブ林から真水の湿地帯と樹木に覆われた川へと棲息地域が広がっている。アラビア湾沿岸はユーラシアカワウソ(Eurasian Otter、Litra lutra)の海岸棲息地にもなっている。
アラビア湾の海岸では世界に7種棲息している海亀のうちのアオウミガメ(Green Turtle、Chelonia mydas)とタイマイ(Hawksbill Turtle、Eretmochelys imbricata) の2種類が産卵している。これら2種類のアラビア湾外で産卵した個体も餌の確保の為にアラビア湾内に入り、一年中の殆どをここで過ごす。さらにアラビア湾内にはオサガメ(Leatherback Turtle、Dermochelys coriacea)、アカウミガメ(Loggerhead Turtle、Caretta caretta)およびヒメウミガメ(Olive Ridley Turtle、Lepidochelys olivacea) の2種ないし3種の海亀が棲息している可能性もあるがその産卵場所は記録されていない。
アオウミガメ(Green Turtle)の多くの産卵場を支えている東部州の島々にはカラン島(Karan)を初め、クライン島(Kurayn)、ジャナ島(Jana)、ハールクス島(Harqus)およびジュライド島(Jurayd)が含まれる。季節毎に産卵するメスは500から1,000匹である。メスは2年目或いは3年目毎に産卵するのでこの地域を使うメスの数はこの数字の2倍から3倍と考えられる。アラビア湾西域のサウジアラビア領の島々に産卵するアオウミガメの個体数は稀少動物である為に国際的に非常に重要である。 タイマイ(Hawksbill Turtle)は主にジャナ島(Jana)を中心にアオウミガメの産卵場に使っている同じ島に相当数のタイマイが産卵を行うけれども、タイマイの多くがアラビア湾中央にあるイラン領の2つの島で産卵する。その1つがシトヴァール島(Shitvar)である。世界中で産卵するタイマイは典型的に密度が低く、少数であるが、これらアラビア湾中央に位置するイラン領の2つの島では現在知られている最大の地域的棲息の1つである。 海蛇はアラビア湾には少なくとも9種の海蛇(sea snake、Hydrophiidae)が棲息している。更にその他の2種類がインド洋北部にあたるアラビア海(the Arabia Sea)に棲息しており、多分、アラビア湾にも居ると思われる。
(1) イボウウメヘビ(Enhydrina schistosa) (2) マダラウミヘビ(Hydrophis cyanocinctus) (3) マダラウミヘビ(2)(Hydrophis lapemoides) (4) クロボシウミヘビ(Hydrophis ornatus) (5) ラセンウミヘビ(Hydrophis spiralis) (6) トゲウミヘビ(Lapemis curtus) (7) クサリウミヘビ(Lapemis viperina (Prascutata viperina)) (8) マダラウミヘビ(Mocrrocepha gracilis (Hydrophis gracilis)) (9) セグロウミヘビ(Pelamis platurus) アラビア湾の魚の種類はアラビア半島の西岸が臨む紅海と較べ、半分しかいないとは言われてはいるがその種類は多いのでここでは私自身のアラビア湾での魚との出会いを述べるにとどめ、詳細は別添の「アラビア湾の魚(Gulf Fish)」をご参照戴きたい。 1970年代初め、アブダビの沖合いに建設中の海洋構造物の上に乗って、一人で船待ちをしていた事があった。たまたま、その日は晴天で凪であった。足元の海には鯵や鰯の大群が移動中で、その後にはまさに食の連鎖に従って、前の群れをたべる為に追いかける魚が群れ、後ろの群れになるほど、その個体が段々大きくなり、遠く水平線まで続いていた。それを数時間に渡って眺めていたが、本当に幻想的で印象に残る光景であった。 その食の連鎖の最後にいたのがサメであったと思う。それでなくても、アラビア湾で一番気になる魚は「多くの犠牲者が出て居る」と言われているサメである。カフジ(Khafji)では海岸まで追いかけられた話は何度も聞いていたし、私自身もレザー(一人乗りの小型ヨット)でトローリングをしていて10kg級のハムールを釣上げたら、その釣れたハムールをサメに食われた経験もある。ハムールに食いついたままで、舟の下に潜り込んだそのサメは私の小さなヨットよりも大きかった。その時は片手で操舟しながら転覆もせずにナイフで何とか糸を切ろうと対処した。結局、頭を残してハムールをサメに食いちぎられ難を逃れた。でもそのハムールの頭に付いた歯の痕が相当後まで怖さと共に目に焼きついていた。 実際には海中作業に携わるダイバー達はサメを恐れていないし、サメの犠牲になった実例もない。それでも舟の上から4 - 5mもありそうなサメの群を見ると余り良い気はしない。アラビア語名は「ナウラム」でアラビアでは小型のツマグロ(Blacktip Reef Shark)とシュモク鮫(Scalloped Hammerhead)が一般的である。アラビア語でフートジャルジョール或いはチャナズと呼ばれるジンベイザメ(Whale Shark)も棲んでおり、ジンベイザメかどうかは定かではないが、海上をヘリコプターで飛ぶと単独で行動する大きなサメの魚影を時々は見掛けてはいた。
石油採掘用の海洋構造物の下や近傍の海面には必ずダツ(Neddlefish)が丸太を並べた様に漂っている。アラビア語名は「ハグール」と言い、海面に三々五々群がってゆっくり泳いでいる。獰猛でギザギザの牙の並ぶサヨリのお化けのような体型で体長は1m以上に達する。幼魚の時は海岸にも来るのでキス釣りの外道で針にかかる事もある。ダツの肉は日本食には適さないばかりか骨に緑が混じるので印象が悪い。カフジ(Khafji)の日本人食堂のコックさんがある時何故かダツを大量に仕入れてしまった。様々に工夫して何度も食堂に出したが誰も食べなかった。ところが、手づかみで食事する船員のインド人達は身がほぐし易いので喜んで引き取り、カレー料理にして甲板で車座になって楽しそうに食べていた。
ツバメウオ(Teira)も海洋構造物の下や周辺に集まるが普段は中層を泳いでいて残飯など捨てると海面に半身を乗り出して食べている。結構大きなこの魚は不思議と釣られた光景は見たことがない。
アラビア湾のエイ(アラビア語名:ロホマ)(Ray)にはアラビアギターフィッシュ(Arabia Guitarfish)、オトメエイ(Stingray)、アカエイ(Dasyatidae Dasyatis)、ヒョウモンオトメエ(Reticulated Whipray)等がいる。特異なのはノコギリエイ(Eagleray/Cownose Ray)であり大きな個体は6mにもなると言う。カフジ(Khafji)では海底の送電ラインが何度も切断事故を起こしており、ケーブルに刺さった歯から「その犯人はノコギリエイ」だと言われていたが、鋼鉄のワイヤーで保護された送電ケーブルを切れるとは信じ難い。エイは砂に潜っている印象が強いが、ウシハナトビエイ(Knifetooth Sawfish)の泳ぐ姿は鳥が飛んでいる様な錯覚を起こさせる程に優雅である。又、サメに近いアラビア名がススと言うサカタザメ(Rhinobatos schlelii) も棲んでいる。
スギと言う名の魚を料理してご馳走してくれる同僚がいたがその形は長い間知らなかった。体長が2mを越す、このスギ(Cobia)と言う魚に魅せられて、スギ釣りにハマった人はこの同僚だけではなく、欧米人でも結構多いようだ。この魚の映像から30年も前にアブダビ沖で夜空に星が輝き、凪いだ静かな海面を細長い大きな魚が二匹で円周を作るように小さな円を描いて果てしなくクルクル回っていたのを思い出し、照合するとこの大きな魚がスギであった事にほぼ間違いない様である。
岩礁の海底に棲み、アラビア語でハムールと呼ばれるハタ(Grouper)はアラビア湾でもっとも一般的な食用魚である。白身であるせいか一昔前のアラビアでは高級ホテルでもレストランで出てくる魚はドバーソール等とメニュウにのっていても全てハムールだった。1970年代初めのアブダビ沖で海上作業に従事した頃、フランス人のダイバーが2、3人がかりで350kg級のハムールを銛で頻繁に突いてきていた。作業用のゴムボートの昇降クレーンに吊されたハムールの腹回りは大人3人が手をつないでも抱えるのがやっとで、一匹で500食分もあった。海洋構造物の足元に生きた魚にナイフのような大きな針を仕掛けて一日置いておくと掛かっていたり、ヨットでトローリングしたりして15kg級まで位は私も数十匹捕まえている。刺身でも、焼いても、鍋でも何にしても美味しく食べられる。ただ、この体重位がつり上げられる限界で、しかもつり上げた後、なかなか死なないので段々に屠殺している様な気がしてきて遂に魚釣りは一切止めてしまった。アラビア人は2kg前後を好み、今では高級魚である。1990年台にアラビアでも大規模な養魚事業が始まったがハムールは同体で時期によって雌雄がかわり、巨大魚となるのに卵は極めて小さい等生態が難しく養魚に成功した話は聞いていない。
アラビア語でドワイルミイと呼ばれるバラクーダ(Barracuda)はヨットでのトローリングでも釣れる魚で味も良かった。釣上げた後、その鋭い歯で噛まれない様に殺すのに苦労していた。毒がある種類もあるそうだか、カフジ(Khafji)で何度か食したが毒に当たった事は無い。
アラビア語でシャーリィと呼ばれるフエフキダイ(Lethrinus haematopterus)もアラビア湾では一般的な魚で魚市場にいつもある。口が大きくもないのにヨットでのトローリングにも掛かってくる程、釣りをすれば何処ででも外道に釣れる魚である。形は鯛に似ているが味はもっとオオアジで淡白だ。
ハマギギ(Sea Catfish)は人肌色をしており、ヒフの表面に銀色の薄い膜があり、沖合いで釣りをすれば殆ど外道にかかってきて、強い引きで楽しましてくれる。食せば美味と言うが食べるには人肌色をした外見が余りに気持ち悪い。
アラビア語名でハマームと呼ばれる体の長い小型のアジ(Bigeye scad)はアラビア湾では繊細な料理はせず、骨まで食べられる程のフライにしている。1970年代のアブダビ沖合ではアジの大群がカツオやマグロに追われて数十メートルにわたって、海面が1mから1.5mも盛り上る光景を何度も目撃した。
体が円いヒラアジ(Banded cavalla, Bigeye kingfish, Foresters jack)やアラビア語でバヤドと呼ばれるシマアジ(Caranx delicatissimus) はマナガツオ同様に御飯を手で掴んで食べるアラビアでは珍重され、焼いて御飯の上にのせ、手で混ぜながら食するのが一般的な様だ。ヨットのトローリングで体長77cmのヒラアジを釣り上げた時には感激した。体重が7kg近くもあり、日本人食堂に持ち込んだら30 - 40人分の刺身が出来た。
イワシは沖合でも沿岸でも獲れ、マイワシ(Sardinops melanosstictus)、ミズン(Bluestripe herring)、カタクチイワシ(Buccaneer anchovy)等のアラビア語でオーム ウムマと呼ばれるイワシ類は小型のアジ同様に骨まで食べられるまで良く揚げて食される。その他に、イワシの仲間とは思えないほど大きなオオカミイワシ(Black Wolf-herring)も棲息している。 アラビア湾の海岸の砂浜で釣れる魚としてはキス(Sillago)、サヨリ(Hyporhamphus sajori)、コチ(Flat head)、カレイ(Indian spiny turbot)、舌平目(Sole)等がおり、何れもフライや天ぷらにして食した思い出がある。味としてはサヨリが一番旨いと思う。
回遊魚にはサワラ、 コシナガおよびメジの二種類のマグロ、シイラ、イケガツオ、カツオがいる。その他にカンパチやサバもいる。又、マナガツオやタチウオも取れている様だ。珊瑚礁の魚としてはチョウチョウウオ、キンチャクダイ、スズメダイ、ベラ、ブダイ、アイゴ、キントキ、イサキ等が挙げられる。
イサキの類 チョウチョウ魚の仲間
その他ネズミギス、キンメダイ、クロサギ、フエダイ、イトヨリダイ、クロダイ、タイ、ボラ、クロハギ、カワハギ、フグ等がいる。 サカナ以外の食用生物としてはモンゴウイカ、アサリ(Ruditapes)、大正エビ、ウチワエビ、ヒオウギ、ホネ貝、ワタリガニが捕れる。 モンゴウイカ(Sepia (Sepia) officinalis)のアラビア語名はカタグで英語名はCommon cuttlefishと言う。体調45cm、今では普通にスパーに売っているが一昔前のカフジ(Al Khafji)では短い春の海岸に産卵に訪れるのを待って捕獲し、一年分の食料として家庭用大型冷凍庫に貯蔵していた。 アサリも昔は自営で掘るしかなかったが今ではスパーで売っている。ただ、身が余り詰まっていないのと「サウジ人は貝の様に地面に落ちている物は食べない」と言われているので出稼ぎの使用人用なのかも知れない。同じ様に地に落ちていてもファガーと呼ばれる松露茸をサウジ人は珍重して食べるので単純に貝の味を覚えただけなのかも知れない。
ウチワエビ(Ibacuc ciliatus)(ゾウリエビ)のアラビア語名はオンム ルビアンで英名はSand crayfishと言う。沖合いで産卵期の夜になると光を求めて浮いてくる。体長は15cm 程で体は赤褐色し、上から押しつぶされたように平たい。体の前半分が円盤形で、上から見るとうちわのような形をしていることからこの和名がある。 ヒオウギはアラビアのホタテ貝とも呼ばれ、小さくて紫色、岩場や珊瑚礁に棲息し、口を大きく開けて泳ぎ、貴重な珍味である。 ホネ貝(Murex pecten)はアクキガイの一種で英名はVenus Comb Murexと言い、海底の10-50m 砂底に棲息する長さ15cm-19cmで魚の骨に似るところからホネガイと言っており、鑑賞用だけではなく、食用にもなる。 ワタリガニ(Portunus trituberculatus) のアラビア語名はガブガブで英名はSwimming crabである。甲幅は15cmを超える大型のカニで、オスがメスより大きい。甲羅の背面は黄褐色だが、甲羅の後半部分や鋏脚、脚などは青みがかっており、白い水玉模様がある。イラン側でも捕れ、スーパー等でも売っている。 |
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