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2006月11月06日
 豊かなオアシスに恵まれた原油の宝庫    (サウジアラビア王国東部州)

 その5 アラビア湾岸    (Vo.5 Arabian Gulf_5)            著: 高橋俊二




4. アラビア湾で生態的に重要な水域

4.1 イラク

4.2 クウェイト

4.3 東部州の海岸

4.4 カタールの西海岸や旧休戦協定海岸

4.5 イラン側の海岸




4. アラビア湾で生態的に重要な水域 

アラビア湾の高い生態学的価値のある幾つかの場所を反時計回りに流れるアラビア湾の潮流に沿って紹介する。Page Top 



4.1
イラク
 

イラクの海岸線はファウ(Faw)に隣接したシャッタルアラブ川(the River Shatt al Arab)河口およびウンム カスルの町(the town of Umm Qasr)で制限されてはいるが、アル ファウ(Al Faw)、コール ザバイール(Khora Zubair)、コール アブド アッラ(Khor abd-Allah)に近い干潟(mudflats)を含む干潮時に現れる泥干潟(tidal mudflat)、湿地や三角州は渉禽類に取って非常に重要な越冬地の一つである。Page Top

 

4.2 クウェイト

クウェイトの珊瑚島にはカル島(Qaruh Island)やクッバ島(Kubbah Island)等がある。カル島(Qaruh Island)はクウェイトでアオウミガメ(Green Turtle)とタイマイ(Hawkbill Turtle)が産卵する唯一の場所であり、珊瑚礁と砂浜がある事で知られている。又、クッバ島(Kubbah Island)は海洋自然公園として指定が提案されている。   

コール アル ムファッタ(the Khawr al Muffateh)の塩湿地と干潟とアン ナク水路(the An Naq Creek)はヨーロッパおよび北アジアからやって来て越冬する(wintering)渉禽(wader)およびカモ等の水鳥(waterfowl)を大量に支えており、自然保護区として提案されている。渉禽は主にイラン側で越冬するが、クウィエトの海岸地域でも2,500羽程度の渉禽が越冬する。Page Top



4.3 東部州の海岸

アル カフジ(Al Khafji)周辺の塩湿地および干潟は鳥たちの豊かな棲息地である。このアル カフジ(Al Khafji)からアル ミシャブ(Al Mishab)、サファニヤ(Saffaniyah)を通りマニファ(Manifa)までリボンの様に珊瑚礁が連なっている。    

東部州海岸沖のカラン島(Karan)、ハールクス島(Harqus)、クライン島(Kurayn)、ジャナ島(Jana)およびアル ジュライド島(Al Jurayd)はアオウミガメと鳥たちの産卵地である。サファニア(Saffaniyah)からマニファ(Manifa)、アル ジュバイ(Al Jubayh)地域で、特にアブ アリ島(Abu Ali Island)の対岸に重要なマングローブ林と海草床(sea-grass bed)がある。その間に散在する砂浜もアオウミガメの産卵地である。

ウンム アル ジャマル島(Umm al Jamal)、アブ サアファ島(Abu Sa'fah)、ファシュト アル エリイ島(Fasht al-Eliy)およびアン ナジマ島(an Najma)は素晴らしく発達した珊瑚礁を持っている。 

バハレーン湾(the Gulf of Bahrain)の特にタルート湾(Tarut Bay)およびダウハト ザルム(Dawhat Zalum)dではマングローブ林と海草床(sea-grass area)が生育している。ここは特にジュゴン(Dugong)と海亀の餌場になっている。同じく甲殻類、海老や魚の漁場になっており、バハレーン湾(the Gulf of Bahrain)はこの地方の伝統的な漁業を支えて来た。東部州の海岸線は砂地が多くそれ程大きな渉禽の個体数は見られないが、タルート湾(Tarut Bay)やその近くの海岸では3万羽の越冬する渉禽類が見られる。

サルワ湾(the Gulf Salwah)とバハレーンの南東海域はこの地方のジュゴン(Dugong)棲息の核となる区域である。ジュゴンの棲息数は約2,500頭から3,500頭位を数えている。ここは又、重要な海老漁場や魚の漁場でもある。バハレーン周辺の泥と砂の干潟でも重要な渉禽個体数や多くの渡り鳥が見られる。Page Top

 

4.4 カタールの西海岸や旧休戦協定海岸(Trucial Coast)

これらの海岸では珊瑚礁、海草床(sea-grass bed)や塩湿地(salt-marsh)の入り組んだ地形を支えている。長いリボン状の珊瑚礁がバハレーンからカタールの東海岸を通ってアラブ首長国連覇の海岸に沿って延びている。休戦協定海岸(Trucial Coast)には広大な潮汐平底(tidal flat)(広大な干潟等)、潟湖(lagoon)および砂丘(sand dune)が低く広がっている。極端に高い温度の浅い海はリボン状の珊瑚礁に不連続部分を作り出している。多くの沖合の島や洲が珊瑚や海草を砂浜で支えている。この様に休戦協定海岸の全域が非常に価値のある棲息地になっている。ジュゴンの個体数の多さは恐らく5,000頭に達し、海亀も餌場にしている。ここは又、巣作りと渡りの両方のおびただしい数の鳥たちを支えている。この地域は又、甲殻類、海老や魚の個体数も多いが、漁業はバハレーン周辺程には発展してはいない。サブカ マッティ(the Sabkhat Matti)は広大な海岸塩湿地であり、2,600km21,000 square miles)の面積があり、鳥たちにとっても重要な場所である。Page Top

 

 

4.5 イラン側の海岸 

イラン側海岸は鳥たちに重要な幾つかの河口域(estuaries)、広大な潮汐平底(tidal flat)(広大な干潟等)、塩湿地、33種類のマングローブ(mangroves)および砂丘(sand dune)で構成されている。イラン海岸は最近の伐採にもかかわらず、推定で8,900ヘクタール(89km2)のマングローブ(mangrove)の林もあるが、ホルムズ海峡(the Strait of Hormuz)に近い東半分は石灰岩の崖の続くもっと岩だらけの海岸である。

ラムサール条約に指定されたイラン海岸にはアオサギ(herons)や白鷺(egrets)の重要な産卵地で100,000ヘクタール(1,000km2)の広さがあるケシュム島(Qeshar Island)の対岸のクラン海峡(the Khuran Strait)およびホルムズ海峡に沿った55kmの海岸線にあるルド シュール(the Rhd-e-Shur)、ルド シリン(Rud-e-Shirin)やルド ミナブ(Rud-e-Minab)等の三角州がラムサール条約に指定された保護区となっている。鵜(cormorants)、大型フラミンゴ(Great Flamingo)、アオサギ(herons)やその他の渉禽類(waders)の重要な越冬地である。 

ラヴァン島(Lavan)からララク島(Larak)までイラン領海の東寄り沖合の島々は岩だらけで、特に東側に重要な珊瑚礁が疎らにある。これらの島々、特にラヴァン島(Lavan)とショツール島(Shotur)は海亀の産卵地となっており、世界的に重要な絶滅種であるタイマイ(Hawksbill Turtle)の保護区に挙げられている。 

アラビア湾北部の広大なシャデガン湿地帯(the Shadegan Marshes)やコールアル アマヤ(Khor-al Amaya)やコール ムサ(Khor Musa)の潮汐平底(tidal flat)(広大な干潟等)はラムサール条約(the Ramsar Convention)で国際的に重要な湿地として指定されている。19万ヘクタール(1,900km2)余りのこの地域はカルン川と5つのその他の河の堆積性三角州で構成され、耕作地から淡水湿地、塩湿地および干潮干潟を含む重要な湿地帯が広がる。イラン領のアラビア湾岸での渉禽類の数は13万から20万羽であり、イラクとの国境のシャデガン湿地(the Shadegan Marshes)には世界的に数が減っている大理石模様のコガモ(Marbled Teal)が渡りの途中でこの地域を通過し、数千羽のダルマティア ペリカン(Dalmatian Pelican)も営巣はしないがここを訪れる。ここはその他の多数の水鳥(waterfowl)の重要な越冬地であり、産卵場所でもある。大型のフラミンゴ(Flamingo)を含めて125種類余りが記録されている。Page Top


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